2018年度制度改正のポイント

 

2018年度の介護報酬改定をめぐる議論が本格化しています。厚生労働省は年内に具体的な内容を固める予定だそうですが・・・。

 

社会保障審議会介護保険部会意見
 事業所の経営や現場の業務に強く影響するだけでなく、制度の行方を左右して業界に変化を促すような大切なテーマが少なくありません。当面の議論の舞台となる介護給付費分科会をします。注視しましょう。

 

1.政府が固めつつある論点

 

※生活援助の見直し

 生活援助を中心とする訪問介護の人員基準を緩和し、報酬を引き下げる方針が決められました。今でも経営が厳しく撤退する事業所が多い訪問介護事業所に大きな影響が出ます。生活援助のカットが狙いとみてヘルパー協会など業界関係者は反対しています。利用者にとっては、生活援助のサービスが受けにくい状態が生じる可能性があります。

 

※給付の適正化

「通所介護などその他の給付の適正化を検討する」との文言が盛り込まれた。財務省はすでに、「機能訓練がほとんど行われていないなど、サービスの実態が利用者の居場所づくりにとどまっていると認められる場合には、減算措置も含めた報酬の適正化を図るべき」と主張しています。通所介護事業所が居場所になって、家族のレスパイト、病院のサロン化の防止ができればそれで医院じゃないでしょうか。管理者から見るとQOLの向上とか生活リハビリと言った視点を看過していると思えます。

 

※ハイテク機器の導入促進

 介護ロボットや見守りセンサー、ICTといった新たな技術を介護の現場に普及させる観点から、人員・設備の基準や報酬の単価を引き下げることを目論んでいます。介護においては人間的な暖かみとか人間同士の交流とかが大切です。その観点からこれは無理筋だと思います。

 

※「科学的に裏付けられた介護」の展開

 厚労省は今後、要介護認定やレセプトなどから得る様々な情報をより有効に活用できる仕組みを構築していく方針。塩崎厚労相をトップとする「データヘルス改革推進本部」を12日にも立ち上げ、具体化に向けた取り組みを加速させるといいます。ビッグデータを駆使し、自立支援の観点で効果の高いケアをエビデンスベースで確立して標準化することで、サービスの合理化や費用の抑制に結びつける狙いです。科学的に裏付けられた介護というのは必要だと思いますが、管理者としては「ビッグデータ」から「標準化」という類いには懐疑的です。

 

厚生労働省社会保障審議会介護保険部会

 

2.社保審・介護保険部会の意見書に盛り込まれた論点

 

※適切なケアマネジメントの推進

中心は「特定事業所集中減算」の見直しです。減算を受けない範囲で同じ事業所のサービスを優先させるところが少なくないことや、減収の回避のみを目的に良質な事業所を変えるケースがあることなどが指摘されており、審議会でも「不合理」「有効でない」といった批判が強まっています。このほか、医療機関との連携を強化してスムーズな入院・退院を支援する観点から、事業所の基準などを変える案も出ています。ケアマネジメントの質の向上につなげるため、事業所の管理者の役割を明確化する方針も示されました。そもそもこのような減算制度はあるべき出ないというのが管理者の意見です。

 

 リハビリの展開

 自立支援や予防の観点から、通所リハの機能強化や通所介護との役割分担を、改めて俎上に載せると説明しています。「短時間のサービス提供の充実」「専門職の配置促進」といった方向性も示されました。訪問リハビリも含めて、できるだけ早い段階で介入することも課題に位置付けられています。職種間・事業所間の連携をさらに深める方策も提案される見通しです。これらはいずれも適切な指摘だと思いますが、通所介護の楽しみとか生活リハビリとかレスパイト機能などを看過することはあってはならないと思います。

 

 

中・重度者の在宅生活を支える地域密着型サービスの推進


定期巡回・随時対応型サービスや小規模多機能、看護小規模多機能が含まれます。効率化の視点を踏まえつつ機能の強化を図り、サービスの提供量を増やしていくことが課題です。定期巡回・随時対応型サービスをめぐっては、随時対応の職員とオペレーターの兼務を日中も認めるべきという意見があります。小規模多機能については、居宅のケアマネが利用者を担当できるようにする案が浮上しているが、「ケアマネジメントを内包しているからこそ迅速・柔軟なサービスができている」といった慎重論も少なくありません。

 

 

特養の体制の強化


入所者の重度化への対応がメイン。医療ニーズに応え、看取りの質を上げることが引き続き求められる。医師や歯科医師、薬剤師、看護師などによる医療系サービスが外から入る仕組みも含めた検討が必要との意見も出ています。ただし、医療の過剰な提供を招きかねないという懸念も根強くあります。まさに特養が生活の場から医療機関の出先になることがあってはいけません。

 

 

医療と介護の連携


 最大のテーマのひとつ。診療報酬との同時改定となるため、シームレスなサービスの提供という視点はこれまで以上に重視される。介護保険部会では、入院・退院時の医療機関とケアマネ事業所、介護事業所の連携を深めることの重要性が指摘された。診療報酬によるアプローチは、主に中医協で議論されることになる。これまでのところ、多職種間の協働や看取り、認知症への対応、リハビリ、かかりつけ医、訪問看護といったキーワードが浮上している。

 

※介護療養病床の再編

 厚労省は新たな介護保険施設「介護医療院」を検討中ですが、とにかく医師会の理解と協力がないと進められないのが現状です。介護療養型医療施設の存続がまた6年延長されそうです。
 厚労省は8月、高齢者などが長期間にわたって入院する「介護療養病床」の来年度末の廃止を見据え、転換先の選択肢として新たに3種類の施設(医療体制の濃淡)を創設する方針を決めました。

 

※地域共生社会の実現

 介護や障がい、子育て、生活困窮といった既存のジャンルにこだわらず、本人も含めたすべての関係者が協力して横断的に街づくりや福祉を担う「地域共生社会」は、これからスタンダードになっていく基本コンセプトです。厚労省は次の改定で、通所の新たな類型として「共生型サービス」を創設する方針です。障害福祉サービスの事業所でも高齢者を受け入れられるようにし、制度の使い勝手を高めたいという。しかし、若年障害者と高齢障害者のケアとはおのずと異なるところがあります。安易に相互利用をすべきでないと思います。マンパワー不足の深刻化が懸念されるなか、限られた人材を効率的に活用したいという思惑もあり、これが本音の部分かと思っています。このほか、相談支援専門員とケアマネジャーとの連携をさらに強化していく観点から、ケアマネ事業所の基準を見直す考えも示されました。




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